プロローグ
Prologue
歴史学者アラズラム・デュライが、 グレバドス教会によって隠匿されてきたデュライ白書について、 真実を伝える論文を発表してから、もう50年近くの月日が経った。 彼の孫である私、アレック・デュライも、 祖父の影響を多分に受け、歴史学者として日々探求に勤しむ日々だ。 今、私が研究に取り組んでいるのは、 ミュロンド大陸からレムネジア海を越えた遥か北、 ミュロンド大陸の数十倍とも云われる程の広大な、 蛇の大陸と仇名される、ミズガルズ大陸での歴史調査だ。 デュライ白書では、聖石と呼ばれる石に、 古代の強力な悪魔が封印されていたという。 そして、同時に奇跡を生む石である、とも。 だが、私は疑問に思う。 たとえ奇跡を生もうが、悪魔の力が宿る石である。 片側だけを見て名付けられた教会の偶像という考えもあるが、 それでも聖石の名にはふさわしくはない。 ならばなぜ、聖石の名はあったのか。 私は聖石の正体を知るため、本格的な研究に取り組んだ。 聖石、またの名をゾディアック・ストーン。 最初にその名が現われたのは、約2000年前のミュロンドだと信じられてきた。 だが、事実はそうではない。 ちょうど私の研究と時を同じくして、ミズガルズ大陸北部で、古代の遺跡が発掘された。 遺跡からは当時の伝承が記録された書物が見つかった。 その書物には、大きな戦乱が描かれていた。 それは今から約3000年の昔の物語であった。 人と、亜人と、獣と、 そして、幻獣との戦争の物語が……。 |